視覚支援でつくる安心時間 〜休憩カードがもたらした変化〜

寒さが身に染みる季節となりました。

皆さま、いかがお過ごしですか。

あきる野市にあります放課後等デイサービス「子笑」の児童指導員の石川です。

さて今回は、スケジュールに【休憩】を取り入れたら、みんなが過ごしやすい環境になったお話です。

さかのぼること、夏。

学校でプールが始まり、プールバッグを持ち帰ってくる日はなんだか疲れている様子の小学生たち。

いつもは主体的に取り組む〈自立課題〉も、そんな日はなかなかやる気が起きません。

◎〈自立課題〉とは、自閉症の方が支援者の指示や手伝いなく、一人で取り組み、「自分だけでできた」という達成感や成功体験を得るための教材です。

 

放課後だもの・・・疲れて何もしたくないときや、ちょっとゆっくりしたいときだってありますよね。

プールに限らず、学校行事の練習をした日や、いつもと様子が違うときなどは、だんだんとご機嫌斜めな状態になっていくこともあります。

疲れたら休んでいいんだよ😊を伝えたい‼

そこで、通所時に疲労やいつもと違うと感じたときに、安心して体を休めること、自分で休憩を選ぶことができるようになればと、スケジュールに【休憩】を取り入れてみました。

言語でのコミュニケーションが難しいお子さんに、体を休ませることを伝えるためには…。

視覚的優位の特性を活かし、目で見てわかるよう視覚的ツールに【休憩カード】を、布団やブランケット等の午睡アイテムを用意し、スケジュールには《自立課題➡休憩➡おやつ➡余暇…》と設定しました。

            ↑【休憩カード】

             ↑【午睡アイテム】

             ↑【コーピンググッズ】

              ↑【絵本】

そして職員同士でも【休憩】をする際に、どうすれば安心して休憩できるかを共有しました。

換気扇を止めてみては?と、換気扇の音に気付いた職員が換気扇を止めてみると、無音になった活動部屋がホッとする空間に変わりました。

初めて【休憩】するお子さんも、スケジュールにある休憩カードや午睡アイテム、のんびり過ごしているお友達の姿も相まって【休憩】を理解していました。

リラックスした表情で布団に寝そべり、コーピンググッズで遊んだり絵本を見たりなどして、思い思いに休憩している姿が見られました。

なかにはそのまま入眠するお子さんもいました。

 

夏休みに入り、小学生が過ごす活動部屋(にこにこルーム)では、お弁当の後に【休憩】をスケジュールに組み込みました。

お弁当を食べる時間は一緒でも、食べ終える時間はそれぞれ違います。

焦らず、自分のペースで食事ができるように環境設定をしました。

【休憩】を取り入れるようになってからは、にこにこルームは自然と静かな部屋へと定着していきました。

聴覚過敏のお子さんにとっても、にこにこルームがリラックスできる環境になっています。

隣の部屋は余暇活動部屋(わくわくルーム)で、好きな玩具で遊んだり、友達と体を動かして遊んだりなどして過ごしています。

最近、言語でのコミュニケーションが難しいAくんとBくんの様子で、成長を感じる嬉しい出来事がありました!

Aくんは、いつものようにスケジュールを確認すると、突然職員にクレーン動作で何かを伝えようとしてきました。

すると、スケジュールの端に貼ってある【休憩カード】を自らはがして、職員に渡してきたのです!

休憩は、毎回スケジュールに入れておらず、学校行事が近いときや、体調等の様子をみて設定していました。

またAくんは、言語でのコミュニケーションが難しくても、視覚的ツールやジェスチャー等で積極的に気持ちを伝えようとしてくれるお子さんなので、常に手に取れる所に休憩カードを貼っていました。

その日は自立課題から始まるスケジュールでしたが、休憩➡おやつ➡自立課題➡余暇(わくわくルーム)…に変更すると、自ら午睡アイテムを自席に持ってきました。

休憩の準備を一緒に行うと、おやつの時間まで体を休めていました。

Bくんは、自立課題時に久しぶりにいつもと違う様子が見られました。

学校行事の練習で今日は疲れているのかな?と感じ、視覚的ツールの【自立課題のカード】と【休憩カード】の両方を見せてどちらを先にするのか選んでもらいました。

すると休憩カードを選び、コーピンググッズを手に持ちながら布団に横になり、おやつの時間まで体を休めていました。

そしてAくんもBくんも、おやつ後は自ら自立課題に取り組んでいました!!

スケジュールに【休憩】を取り入れたら、休むことを自分で選べる力がついてきました。

自分の状態がわかり、視覚的ツールを通してメリハリのある活動ができるようになってからは、不安定になることも減ってきたように感じます。

これからも一人ひとりの体調や状態を確認しながら、安心して過ごせるよう見守っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

放課後等デイサービス子笑   石川

東京都あきる野市油平87-3 シャルマンルーフ2F

042-550-7185

 

 

 

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