余暇活動にも、特性にあわせた支援を! ~放課後等デイサービス編~

立春をすぎ、暦の上では春を迎えましたが、まだまだ寒い日が続きますね。
最近になり、インフルエンザが再度流行をし始めたとのお話も耳にします。
みなさまもどうか体調にはお気をつけください。
さて今回のブログでは、余暇の時間に遊ぶことがあるトランプゲームの場での、子笑ならではの支援をご紹介します。
ある日の余暇場面にて……
個別プログラムなどの活動が一通り終わったあとの余暇時間。
わくわくルーム(プレイルーム)で遊んだり、お友だち同士で談笑をしたり、お子さんたちは思い思いの時間を過ごします。
中にはトランプゲームが大好きなお子さんもいて、リビングに何人かで集まって、ババ抜きで遊び始めます。
しかし、年齢も特性も違う、多彩なメンバーが集まってゲームをすると、上手くいかないことが出てきます。
「まだ○○くんの番じゃないよ!」
「あっ、ごめんっ……。」
ゲームが白熱してくると、ついつい順番を飛ばしてしまう。
これ自体は、誰にでもあり得ることです。
しかし……。
「あー!また○○くん飛ばしてる!!」
「ご、ごめんっ……でも、わざとじゃないんだよ……。」
他のお友だちから指摘をうけても、何回も順番飛ばしを繰り返してしまう。
そんなお子さんがいらっしゃいました。
(普段はルールをキッチリ守るお子さんなのに、どうしてだろう……?)
その様子を見て、私はとても不思議に感じました。
ババ抜きに必要な脳の機能はなにか?
順番飛ばしを指摘されたお子さんは、とてもしょんぼりとした様子でした。
その様子からは「本当は順番飛ばしなんかしたくない!」という気持ちが伝わってきます。
(ご本人もルールを守りたいけれども、障害特性が邪魔をしている?)
そのような発想に至り、ババ抜きで必要な脳の機能を整理してみることにしました。

ババ抜きでは、いまは誰の番かを把握したり、あと何回で自分の番になるかを計算するなどの作業が必要になります。
このように記憶に情報をとどめたり、とどめた情報を記憶の中で操作する脳の機能は、ワーキングメモリとよばれます。

また、ワーキングメモリの情報をもとに(まだ自分の番じゃないかも!)と想像し、手を伸ばしたくなる衝動にブレーキをかけることも必要です。
これは抑制機能とよばれます。

ワーキングメモリと抑制機能は、ともに大脳の前頭葉を中心に、脳の各部位が連携し合うことで機能します。
発達障害の方では、前頭葉をはじめとした脳の各部位が働きにくかったり、連携がうまく取れないため、生活の様々な場面で難しさを感じやすくなります。
先述したお子さんも、生まれもった脳の性質から、ワーキングメモリや抑制機能が働きにくく、順番飛ばしを繰り返してしまったと考えられます。
苦手を補うツールをつかおう!
脳の特定の機能の働きにくさから難しさが生じている場合、ツールでその機能を補うと、難しさを解消できることがあります。
今回のケースでは、「今は誰の番?」を把握したり、「引きたい!」の気持ちにブレーキをかける機能をツールで補うと、順番飛ばしを少なくできると考えられました。
そこで、イラストが得意なボランティアスタッフのKさんに、これまでの状況や見立てをお伝えして、ツールの作成をお願いしました。

Kさんは熱心に職員の説明に耳を傾け、すぐにツールづくりに取りかかってくれました。
そして完成したのがこちらです!

かわいらしいイラストが目を惹く、とってもすてきなツールが完成しました。
使用方法も単純明快で、”ひく”の駒が目の前にきたら、”ひかれる”の駒が目の前にきた人からカードを引く、というものです。
これまではワーキングメモリの中で行う必要があった、「今は誰の番?」を把握する作業を、このツールが補助してくれます。
早速、ババ抜きの場で使ってみます。

「なにこれー!かわいい!!」
ツールを見た子どもたちから、うれしそうな声が聞こえます。
実際にゲームをはじめてみると……。

順番を飛ばしがちだったお子さんは、役が回るたびに職員が動かすツールを目で追いかけて、確認しています。
ツールが「今は誰の番?」の把握を補助してくれるおかげで、お子さんは「引きたい!」の衝動にブレーキをかけることに集中できます。
順番飛ばしはすっかり起こらなくなりました。
また、何度かゲームを繰り返しているうちに、しくみを理解した別のお子さんが、自主的にツールを回してくれるようにもなりました。
そしてトランプゲームがおわった時には……。

「たのしかった!またやりたいな!!」
以前に順番飛ばしを指摘され、しょんぼりとしていたお子さんの顔には、満面の笑みが浮かんでいました。
これ以降、Kさん特製のツールは、子笑のババ抜きには欠かせない存在になっています。
おわりに
「子笑」では、これまでも障害特性や発達段階をふまえた、根拠にもとづいた支援を実践してきました。
今回のケースは、個別プログラムだけでなく、余暇活動の場面においても、根拠にもとづいた支援が重要であることを教えてくれました。
これからも、あらゆる場面において、根拠にもとづいた支援を実践し、少しでも多くの子どもたちの笑顔を引き出していけたらと思っています。
児童発達支援・放課後等デイサービス 子笑 川畑
東京都あきる野市油平87-3 シャルマンルーフ2F
042-550-7185


